A LIFE IN JAZZ|一度きりの人生を豊かに過ごす秘訣

音楽の紹介やその雑学、読書、生活知としての哲学、など幅広く書いています。

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第四回ジャズの名曲〜隠れた名アルバム3選〜

今回は曲紹介ではなく、オススメのインストアルバムをご紹介します。どれも個性的ではありますが良い曲を多く収録しアルバムとなっております。

Holiday For Pans(ジャコ・パストリアス

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同アルバムはジャズ、フージョンのエレクトロニックベーシストとして知られる、ジャコ・パストリアス(1951-1987)の後期のアルバムです。

https://prtimes.jp/i/1355/2832/resize/d1355-2832-881217-1.jpg

本アルバムでは、彼の曲の伴奏に欠かせないスチールパンドラムが主にフロントとして演奏されました。彼自身もパンドラムを叩いて演奏したようです。

第六曲目のCity Of Engelsでは、Blue Setteの作曲者として有名な、ハーモニカ奏者のトゥーツ・シールスマン

テナーサックスはウェザーリポート時代の盟友、ウェイン・ショーターが演奏しています。

本アルバムにはGiant Stepsをパンドラムで演奏した曲が入っており、Giant stepsが好きな方必聴です!

 

HOLIDAY FOR PANS

HOLIDAY FOR PANS

 

 

Page One(ジョー・ヘンダーソン

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ジャズにおける数々のヒット曲の裏の多くには彼がいつもサイドマンを務めていました。

隠れた天才テナーサックス奏者ジョー・ヘンダーソンの記念すべきデビューアルバムです。

https://blog-imgs-113.fc2.com/n/o/n/nonkig3/blog_import_5c92183465dff.jpeg

同アルバムにはジャズスタンダードとして有名な、ケニー・ドーハムの”Blue Bossa”、この曲実はボサノヴァハードバップの融合を試みた曲で、このアルバムでの初演以降、今では世界中のプレイヤーに演奏されるようになりました。

ジョー・ヘンダーソンの”Recorda Me”、この曲は彼が15歳の時に元々ラテン風にボサノヴァ風にアレンジしたようです、

しかも、それぞれの初収録が同アルバムに収録されています。

この2曲でも十分楽しめるのですが、他にもアジアを彷彿とさせる”Jinnrikisya”

美しいバラードの”La Mesha”など、聞き応えのある良曲が多いことでも知られています。

また、ピアニストには若き日のマッコイ・タイナー

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/13/Mccoy_Tyner_1973_gh.jpg

トランペットはジョー・ヘンダーソンの親友ケニー・ドーハム(手前がドーハム、奥がヘンダーソン

https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcSyWsows4-fXfynpwkpXmqmL8RcX2es9xTKeQ&usqp=CAU

が参加しています。 

Page One

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Secret Story(パット・メセニー

www.youtube.com

このアルバムは1992年のパットメセニーのアルバムです。

 

彼は先ほど紹介したジャコ・パストリアスとも大学からの音楽仲間で親交が深いことで有名です。メセニーのファーストアルバム”Bright Size Life”ではパストリアスの初期のスタイルのエレクトロニックベースを聴くことができます。アコースティック、エレクトロニックの両方こなすジャズギタリストです。

https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcRmkpbpxqFCwLSFIRfDZDF8jXlkSqYAXh0Lxg&usqp=CAU

 

ブライト・サイズ・ライフ

ブライト・サイズ・ライフ

 

同アルバムはジャズ、ロック、ワールドミュージックなどいろんな要素が含んだナンバーとなっており異色の作品として知られています。また、同アルバムのCherry blossomでは矢野顕子がヴォーカルとして参加しています。

 

Secret Story

Secret Story

  • アーティスト:Metheny, Pat
  • 発売日: 2007/10/02
  • メディア: CD
 

 

 

最後まで見ていただきありがとうございました!

それではまた!

第二回Jaz雑学〜変わった経歴のピアニスト〜レッド・ガーランドとは?〜

こんにちは今回はマイルスのバンドで名を馳せたことでも有名なジャズピアニスト

レッド・ガーランドについて深掘りしていきたいと思います。

レッド・ガーランド(1923-1984)

https://toshisuzuki.com/wp-content/uploads/2016/08/red-garland-300x300.jpg

本名をウィリアム・マッキンリーレッド・ガーランドアメリカ合衆国テキサス州出身

音楽一家の生まれではなく父親は第一国立銀行のエレベータのオペレータでした。

最初にガーランドが始めた楽器はクラリネットで、途中でアルトサックスに切り替えました。

そこには、アルトサックス奏者のバスター・スミスとの出会いがありました。

https://www.jazzdiscnote.jp/BusterSmith.jpg

バスター・スミス、通称スミス教授はガーランドと同じテキサス州のダラス出身で

ビバップの生みの親であるチャーリー・パーカーはスミス教授に従師しました。

そのため、パーカーに多大な影響を与えた人物として有名です。

ガーランドも彼から、ジャズの理論的な指導を受けていたようです。

 

1941年、陸軍でピアノを始めた18歳のガーランドはアリゾナ州のフワチューカ砦に駐在していた際、他の軍人のピアニストがレクリエーションルームで毎晩演奏しているのを聴きます。

そのピアニストの名はジョン・ルイスと言います。(ただしMJQのジョン・ルイスではない)

ピアノへ関心が高まった彼はついにはそのピアニストから教えてもらうことにしました。

バスター・スミスの下で譜読みなど音楽の指導を受けていたのでゼロから始める必要はなく

毎日、朝から晩まで練習を重ねたガーランドは、急速に成長していきました。

ここまででも十分多彩な才能の持ち主であることが伺えます💦

 

ところが、彼はクラリネットと同時にボクシングにも熱中していたのです。(スゴイ

ウェルター級のプロボクサーとしても活躍していました。

史上最強のボクサーと評されるのシュガー・レイ・ロビンソン(下写真)と一戦交えたことのあるほどの人物で

https://data.smart-flash.jp/wp-content/uploads/2017/03/06141431/murata_02.jpg

将来のキャリアに向け音楽かボクシングか進路を選択する必要がありました。

結局ピアノを選択した彼でしたが、怪我でピアノが弾けなくなるのでボクシングを諦めたとかなんとか。。。

 

1944年に彼は陸軍を去った(やめた?)後

恩師バスター・スミスのバンドに在籍ツアーに参加します。

その間1945年にテキサス州のフォートワースのテノールサックス奏者のビル・ブロッカーと

初のギグに参加します。これが彼のプロデビューでした。

ピアノを初めてたった5年という歳月でよくここまでできるなとびっくりです笑

ある晩、ミントンズでガーランドがピアノを弾いていると、バド・パウエルがやって来ました

そしてガーランドにピアノの席を譲るよう要求します。

https://toshisuzuki.com/wp-content/uploads/2016/08/bud-powell-300x300.jpg

バド・パウエルが演奏した時、ガーランドは自分自身が提供したそのギグによって

完全に打ちひしがられることになりました。

https://1.bp.blogspot.com/-y9VG1_h-Ihc/U1T3nDsVr0I/AAAAAAAAfTo/CtDCcSOvkxY/s800/figure_devastated.png

しかし、ガーランドはその後、バド・パウエルの自宅に頻繁に訪れるようになります。

彼から色々なことを学んだガーランドはついにバド・パウエルと親しい友になりました。

そして、超人的なピアニストのアート・テイタムの次に多くの影響を受けることになるのです。 

また、彼はアート・テイタムからも指導を受けました。

ある晩ピアノのみが設置されているニューヨークのジャズクラブ

”Lucky's Rendez-vous"でアート・テイタムから

ピアノを弾くのではなくピアノに演奏させるように言いました。

そして使えるいくつかのアルペジオを教えました。

 

そして1946年、ニューヨークツアーが終わったのを機に、ナイトクラブで演奏を開始します。

 

1947年、当時モダンジャズの主要な音楽シーンであったフィラデルフィアブルーノートクラブでガーランドは2年間ピアニストを担当しました。その際、マイルス・デイヴィスチャーリー・パーカーらその他の有名ジャズマンらと演奏を重ね腕を磨きます。

1949年、ジャズの伝説的なテナーサックス奏者コールマン・ホーキンス

https://img.hmv.co.jp/image/jacket/400/36/9/3/635.jpg

トランペット奏者のロイ・エルドリッジら

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に雇われると、瞬く間に彼の評判は広まります。

レッド・ガーランドが並外れたプレイヤーであることが多くのジャズマンに伝わり

レスター・ヤングをはじめとする数多くの人物が彼を雇いました。

https://100sax.com/wp-content/uploads/2013/05/LesterYoung.jpg

彼は1950年初頭までトリオのリーダーとしても力を十分に発揮し活動を続けます。

ところが、1955年マイルス・デイヴィスからクインテットに誘われます。

これがマイルスの第一期黄金のカルテットと呼ばれるバンドの始まりで

メンバーにドラムのフィリージョージョーンズ、テナーサックスにジョンコルトレーン

ベースにボールチェンバース、そしてリーダーのマイルスです。

この後モーダルジャズに傾倒していくマイルスでしたが、ガーランドはそれを良く思わなかったようで、新しくピアニストにモーダルな理論に造詣の深いビル・エヴァンスを据えました。

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その後のジャズシーンは縮小の一途をたどりましたが、彼はビバップのスタイルを最後まで貫きました。1984年の4月23日に心臓発作で亡くなるまで、彼は控えめであったものの演奏スケジュールを続けていました。

 

いかがでしたでしょうか?

個人的には18歳からピアノを始めたのにもかかわらず、23歳でプロになったのは彼のジャズに対する情熱によるものだろうと思いました。また、彼は紆余曲折ありながらも上達していけたのは”指導者に頭を下げ教えを乞う”ということがきちんとできる謙虚な人だったのだろうと思います。それも含めてすごい人だなと感じますね。

最後に彼のレッドというミドルネームなのですがどうやら、若い頃髪をレッドに染めていたことからきているらしいです笑

最後まで見ていただきありがとうございました!

それではまた!

 

参考文献: https://musicians.allaboutjazz.com/redgarland?width=375

http://ttps://musicians.allaboutjazz.com/redgarland?width%3D375¥

マイルスの名曲〜So what の歌詞を翻訳してみた〜

こんにちは

”So What”の歌詞を翻訳しようと思った理由は

そこからジャズの歴史や当時の人の思いを多少なりと理解できるかなと思ったからです。

ちなみに、So what を歌っているのは

エディ・ジェファソン(Eddie Jefferson)です。

https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcRtEPBIy61KBzHcW9DbfvwV4byj295V6wJcMQ&usqp=CAU

彼はアドリブに歌詞を載せるスタイルを初めて考案し実践した人物です。

そのスタイルはヴォーカリーズ(Vocalese)と呼ぶようです。

 

youtu.be

それでは、どうぞ!

 

Miles Davis walked off the stage,

As soon as his solo was over

マイルスはソロが終わるとすぐステージから降りた

Oh yes he did leave the stage,

Clean out of sight now 

そう、ステージを去っていったんだ。

もう見えなくなったよ。

Coltrane he walked off the stage

That's what your folks are all saying.

仲間はコルトレーンがメンバーを抜けたと言った

Oh yes he did leave the stage

そう、ステージを去っていったんだ
And that's a fact now

それは事実だ。 

They felt they had to rehearse

Although we know they are masters

当然、全員がプロの演奏家

しかしリハーサルをしなければと思った。

They get a real mellow sound
And you will have to admit it

全員がとても良いサウンドを持っていると

あなたは認めることになる。

I guess both left the stage

Soon as their solo's were over.

うん、二人のソロが終わったと同時に両方ともステージを降りたと思う。

And if you can't figure out their groove

 I'd like to help you

もし彼らのグルーヴを理解できないなら説明するよ。
Well, my friends

now about Miles Davis

ええと、俺の友達、今はもうマイルス・デイヴィスだが

I never know why some people always try to find support of his band  and his horn

一部の人がいつも彼のバンドと彼の音色の手助けする理由が全くわからない。

And when they go

to wherever he is playing 

そして、マイルスが演奏しているいかなる場所に行く時

They seem to go to see whether he 

is ganna turn the business 

彼らはマイルスが上手く行くかどうか見に行く。

He never walks around the place and speaks to 

all of the folks he didn't know,

マイルスは全然歩きまわらないし、彼の知っている人誰にも全く話しかけなかった。 

 I wouldn't either and neither would you friends

私の知っている人、あなたの知っている人、友達にも。

But  I know he is friendly

I  knew the rest of us we do Oh yeah

でも、マイルスはフレンドリーな人だと私は知っている

みんなマイルスがフレンドリーだと知っている。

We did, it's beautiful soul and we love 

Him and his blue horn 

私たちは彼と彼のブルーな音色を愛していたし、それは美しい心だと思っていた。

Here's another thing now

About the clothes he wear

そして、もう一つ彼の着ている服についてなんだけど

I am sure his style is in the future

マイルスのスタイルは最先端を行っているんだ。

He is cool.the fit of his clothes is perfect

クールだし、しかも着こなしが完璧だ

Just like the way he plays,

He is not afraid of being different

ちょうど、演奏スタイルのように、変化を恐れない。

And he has won most bolds of this modern jazz

マイルスはモダンジャズでの最も大胆なことを勝ち取った。

He and Gillespie are kings

マイルスとガレスピーは最強だよ

Miles and his group are breaking records, yeah

Because they sure do swing  

マイルスとそのバンドは確実にスウィングし、

空前の大ヒットを巻き起こした。

参考:https://youtu.be/lz4s2A1vG2c

 

全体的に、マイルスを称賛する内容を誰かに語っていることが分かります。

前半のマイルスとコルトレーンがステージを降りた、以降あたりの解釈がよく分かりません💦もし何かご存知の方いらっしゃいましたらコメントいただけると大変ありがたいです。

 

最後まで見ていただきありがとうございました!

それではまた!

 

So What

So What

  • 発売日: 2018/03/30
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

Bill Evansが語る〜ジャズの上達方法、クラシックとの歴史的な関わり〜

時間がある方は動画を見られることをお勧めします。

[:contents]

まずは彼の経歴についてです。

経歴

https://s.wsj.net/public/resources/images/PJ-BZ843_evans_M_20150202155926.jpg

ビル・エヴァンス(1929-1980)

 本名ウィリアム・ジョン・エヴァンス、アメリカ合衆国ニュージャージー州生まれ。主にトリオをメインで活動した、ジャズピアニストです。”Waltz For Debby”が特に有名ですね。実は3歳になるエヴァンスの姪のために書いた曲なんです💌

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 さて、従来はトリオというとはドラムやベースはリズムセクションとして脇役的な扱いを受けていましたが、エヴァンスのトリオではそれぞれが独創的なインプロヴィゼーションで干渉し合ういわゆるインナープレイを実現し、トリオの新たな可能性を示した人物でもあります。 

 また、彼の演奏する和音はクロード・ドビュッシーモーリス・ラヴェルなど印象派の影響を受け、彼自身が調和言語の主要な改革者としてみなされているようです。(海外の翻訳でわかりにくいですが、音楽理論の解釈を押し広げジャズに生かした人って感じでしょうか)

 彼にはジャズに対する情熱だけでなく、音楽に対するインテリジェンスな面もありました。当時のジャズマンにとっては珍しい、モード(旋法)の理論に対して造詣が深かったそうで、実際、モードジャズをジャズに初めて取り入れたアルバム”Kind Of Blue”に出演しました。

 他にも、彼は私生活ではかなりの読書家だったようで、特に哲学や機知に富んだ本が好みだったようです。例えば、プラトンフロイトサルトルなど。また東洋哲学にも関心があったようで、イスラム教や仏教、禅など東洋の宗教や思想に魅了されていたようです。

 最後に彼が唯一最大の影響を受けた人物はバド・パウエルだそうです。 

バド・パウエルについての記事についてはこちらを参照ください

heiyou2122123255.hatenablog.com

 

Bill EvansYoutube動画

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6分ほどあります、実際にジャズを勉強している方はもちろん、ジャズの歴史などに興味のある方には是非!ご覧いただきたい動画です。

 

ビルエバンスの考えるジャズという音楽の上達方法

(司会者がビル・エヴァンスについて説明するシーン①)

エヴァンスは”スタイルとは自ずから出来上がるもの”と主張しており、自分を真似るプレイヤーをあまりよく思わないようです。”誰にも独創的なインスピレーションが多かれ少なかれある”と考えているからです。

 <解説>

後半で、彼はジャズを主体的、能動的な音楽であるとしており、プレイヤーに対しては自分で作曲するくらいの感覚を要求しているように思われます。

 ただ、ここで彼が言いたいのは、曲を完璧にコピーすることも大事ではあるが、それ以上に”演奏者の意図”を理解することをジャズでは求められるだということです。例えば、シンプルにいえば、このフレーズは別の曲のこのコードに使える、などです。楽譜通りの、演奏に酔いしれるだけでなく、分析し、自分なりに活用できるスキルとして消化する。つまり、大事なのは自分で何かを生み出そうとするその能動的な姿勢を大切にして欲しいのだと私は考えます。

 

蛇足

このことに近い内容が他の本でもありました。(ある人物の回顧と考えてください) 

 私は盲目の天才ジャズピアニストアート・テイタムとある晩、彼のレコードの演奏を完璧に真似したプレイヤーの演奏を見て、私はその正確さにすっかり感心してしまった。

しかし、、アートは笑いながら相手にせずこう言った。

”彼は私がレコードの中で何をしたかはわかっているんだがなぜそうしたかはわかっていないね”

参考文献:ビリーテイラー著/古屋直己訳/ジャズ・ピアノの歴史/P16

 

( 司会者がビル・エヴァンスについて説明するシーン②)

まず重要なのは、基本的な理論をマスターすること

練習を重ねて、演奏に必要な筋肉をきたえることである。

技術と同時に頭脳も鍛錬しなければならない

 <解説>

これはその通りですね、基本的な理論は知っておいた方が良いと思います。

ただ、基本的な理論を知っていてもそれを即実践できるようになるのには結構時間がかかります。知っているのと、できる、の間の壁は結構分厚いように思えます。

実践と理論の両輪が大切ですね。なので深い理論を知っているより、ちょっとの理論をかじっていてそれを極めた方が上達は早いのかなと感じます。

頭を使う練習としてよくあげられるのは例えば、ある曲を異なるキーで演奏するのとかですね、これは本当に頭を使います💦 

 (司会者がビル・エヴァンスについて説明するシーン③)

演奏する時、技術的に心配がなければ、音楽そのものに没頭できる

そうすれば、自己に内在する意識に即応した演奏ができる

これがジャズであり、人生であると言っている。

<解説> 

偉大なジャズマンであるチャーリーパーカーは、”全て学び、そして全て忘れる”と言ったそうです。つまり、記憶することが大事なのではなく”意識しなくてもできるレベルになる”ことが

重要であるということです。そのためには基本的な練習をいかに五感を使って体に染み込ませながら繰り返し練習します。

 (司会者がビル・エヴァンスについて説明するシーン④) 

音楽に馴染みの薄い人はわかりにくいだろうから、自動車で説明すると

車を乗りたての頃はそれぞれの動作を別々に行うだろう。

そして徐々に動作をつなげられるようになり

最終的には意識せずに車を動かせるようになる、こんなイメージだ

 

クラシックの歴史と即興音楽

Bill Evans

一般の人々が本物のジャズを聴く機会は少ないが

人々のジャズに対する考え方も本物ではない

<解説>

つまり”大衆の抱くジャズに対するイメージと本物のジャズのイメージとが乖離している”ということを、エヴァンスは言いたいのでしょう。

 

Bill Evans

だが、ここ数世紀の中では芸術分野の中でジャズだけが、アメリカで生まれ世界に紹介された唯一のものである。しかしジャズはクラシック音楽の歴史を、なぞっているとも言える。

17世紀のクラシック音楽は即興がもてはやされたんだ。

当時は録音技術がなく音楽を永久的に保存する方法がほとんどがなかった。だから、譜面にするしかなかった。やがて音楽は楽譜をいかに解釈するかになり、的確な解釈と知的な構成がクラシックの主流となり、即興的側面は消えてしまった。今いるのは作曲者と解釈者だけだ。

<解説>

ここではジャズとクラシック、別の音楽とみなされる両者が

実は地続きであると、彼は主張しています。

17世紀のクラシック音楽には即興的な要素が大きかったが

その演奏を現代に残す方法は当時は無く、譜面におこすしかなかった。

ところが、だんだんクラシックの音楽は楽譜をいかに正確に解釈して

作曲者の思いを汲んで演奏できるかということになった。

(実際、大学のクラシックピアノの授業では演奏したい曲の時代背景や題名の意味などを、演奏前に発表するなどしていたので、事実そうなんだろうと思います。)

 

 <Bill Evans

作曲家が即興を入れることは非常に稀だし18世紀の頃はその必要もなかった。

ジャズも同じような経過をたどり

今やジャズは形式(スタイル)であると考える人の方が多くなった。

だが、ジャズは作曲の過程そのものなんだ

1分の音楽を1分で作曲するということだ

クラシックは1分の音楽を3ヶ月かけて作ったりする

そこだけが違うんだ。

<解説>

18世紀になると、クラシックから即興的な側面は消え失せたが、

同様にジャズも同じ道をたどっていると、エヴァンスは主張します。

ジャズが形式的、つまりただのジャンルとしてのジャズしかないと

一般的なジャズというと確かに管楽器とアコースティックな楽器の小編成のバンドでの譜面の演奏で十分、事足りるかもしれません。ところが本来は1分で1分の曲を作ると言った、すなわち即興演奏が重要である。クラシックとジャズにはそういう意味で境目はないのだということですね。

 

 <Bill Evans

ところが歴史的な背景を考えるとジャズは、アメリカの音楽や文化の影響を受けた音楽であり

その意味では形式的と言える。否定はしないが決して忘れてはならないのが、ジャズは自然発生的な創造の過程そのものだということだ。

ショパンやバッハ、モーツァルトのように

即興すなわち瞬間を音楽に表現できる人たちはジャズ奏者と同じだ

形式ではないんだ、僕はそう思っている

<解説>

僕自身もジャズという音楽の起源として黒人のブルース的な要素を尊重することは重要であると思います。しかし、必ずしも村社会的なセッションのルールに縛られるものではないと思っていて、歌謡曲でもポップスでもゲーム曲でもジャズとして扱うことは可能だと思います。

 <Bill Evans

創造の過程としてのジャズで一番スリリングなのは、録音したレコードを後で聞くことだ

録音中の出来事を聞いてびっくりすることがある。

これは面白いことだが、優秀な作曲の先生ほど

もちろんクラシックだが、音楽は即興的に響かなくてはならないと生徒に教えている

つまり、芸術的な音楽というのは自発的な要素がなければならないんだ。

だからこそジャズはスリリングなんだ。

音楽を自発的に作れるんだからね。

 

最後に

かなり、長くなりましたが💦いかがでしたでしょうか?

私自身、ジャズが今や生活の一部であり音への探求心が強い人間です。

前半の部分は音楽以外でも活かせそうな気がしますね。

改めて、みてみましたがアドリブの上達に関してはあくまでエバンス個人の意見であることに気をつけなくてはいけないなと感じました。エバンスですら自分の演奏に自信がなかったため、色々な理論を学ぶようになったと言います。

ホレスシルヴァーなどは、もちろん理論を学んでいることは確かですが、キャッチーで親やすいアドリブが見どころであります。また、ビバップのころの演奏者は実際に口でアドリブを口ずんで、それを鍵盤で鳴らしていたとも言われています。

ジャズの習得方法は人それぞれであるとも言えるでしょう。これがジャズの面白いところでもあります。

皆様の少しでもお役に立てれば幸いです。

最後まで見ていただきありがとうございました。

それではまた!

 

第一回JAZ雑学〜ディジーガレスピーの膨らんだほっぺの秘密?!〜

ディジー・ガレスピー(1917-1993)

本名をジョン・バークス・ガレスピーアフリカ系アメリカ人でバンドリーダー、作曲家

アルトサックスのチャーリー・パーカーと共にモダンジャズの原型となるスタイル、ビバップの原型を生み出した偉大な人物である。

早くからラテンジャズを曲に取り入れた人物としても知られる。

MantecaやNight In Tunisiaなど、スタンダード曲も数多く手掛けた。

https://i.ytimg.com/vi/qRJnFJdIFbM/maxresdefault.jpg

また、彼の愛称であるディジー(Dizzy)は

彼がめまいがする(Dizzy)ほどの超絶技巧のアドリブテクニック

を持っていたことからそう呼ばれていたそうです。

(日本語のWikiによればそうらしいのですが、英語やフランス語のWikiで出てこなかったのでちょっとイマイチな感じはしますね😅)

ディジー・ガレスピーは長いので親しみを持ってて”ディズ”と呼ばれたりもします。 

 

さて本題ですが

写真にあるように、ディジーのほっぺたがめちゃくちゃ膨らんでいることがわかると思います

正直、膨らんでいるどころじゃないですよね笑

実は、これは彼の特異な体質によるものなのです。

実際、その症状には正式な名前が付いており、ガレスピーズパウチズ(Gillespie's Pouches)つまりガレスピーの小袋と呼ぶそうで、彼の名前が入っています。

 

 

 

第三回ジャズの名曲〜味わい深い民族音楽〜

 今回はジャズの中でも民族色の強い曲をご紹介していきたいと思います。 

”The God Of Yoruba”

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本アルバムはホレス・シルヴァーのSilver’N Percussion(1977年)に収録されています。

この”Silver’N”が気になるところですが、これは直訳すると”シルヴァーと〜”

という意味になり、このアルバムはPercussionとのコラボアルバムということです。

他にもSilver’N Voice, Silver’N Strings,  Silver’N Wood,..などあることから

彼の実験的な音楽制作時期として知られており、このアルバムはスピリチュアルの要素が強いとされています。

また、Michael Babatunde Olatunji(マイケル・ババトゥンデ・オラトゥンジ)がパーカッションを演奏していることにも注目です。 

シルヴァー・ン・パーカッション

シルヴァー・ン・パーカッション

 

Kathy

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ブラジルの作曲家、モアシル・サントスのアルバム、サウダージに収録されています。

1974年にブルーノートレコードからリリースされたものです。

どこか懐かしいような、そんな気持ちを起こさせる曲です。 

Saudade by Moacir Santos (2012-11-27)

Saudade by Moacir Santos (2012-11-27)

 

”Manteca”

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同曲はチャーリーパーカーと共にビバップの生みの親として知られる天才トランペッター

ディジー・ガレスピー(写真右)キューバパーカッショニスト、チャノ・ ポゾ (写真左)そしてギル・フラーが共同で執筆したもので1947年に発表されました。

https://epmgaa.media.clients.ellingtoncms.com/img/photos/2016/08/11/NIE_-_Chano_Pozo_1.png

当時、ビバップは大衆にとって複雑でとっかかりにくいイメージがもたれていました

そこでディジー・ガレスピーはリズミカルで、体を動かしたくなるような曲を演奏することで

より多くの人にビバップという新しい音楽を聞いてもらおうと試みました。

アフロキューバンジャズの最も初期の作品として知られています。

また、彼はトークやダンスで観客を楽しませる才能や当時としては珍しい、後輩へも惜しみなくジャズ理論の知識を提供しました。

音楽だけでなく、その人柄からも魅力を感じる人物と言えるでしょう。

ちなみにディジー・ガレスピーの印象的な曲がったトランペットは

パーティーで騒いだ客に誤って人に踏みつけられてしまったのが始まりで

そのことに怒ったディジーでしたが、どうやら音は鳴ることに気がつきます

さらにトランペットの先のベルの部分がプレイヤーに近いことから

自分の音を聞くことができるので、優れていると、機嫌を良くしました。

それ以降、彼は特注で曲がったトランペットを愛用するようになり

彼のトレードマークとなっていくのです。

 

Manteca

Manteca

 

今日のオススメアルバム

ジョー・ヘンダーソンのPower To The Peopleより”Afro Centric”

フュージョンより少し前の時期のアルバムで、メンバーにはBass ロン・カーター

Electronic Pianoにハービー・ハンコックなど、マイルス・デイヴィスのバンドで

実力を見出されたメンバー達です。

youtu.be

 

それでは!!

第二回ズージャ会議〜インストと歌詞つき曲の理解〜

こんにちは

今回のテーマはインスト曲×歌詞つき曲の深堀りです!

 あくまで、それぞれの優劣を考えているわけではないことをご了承ください😌

 本題

まず初めに

”アドリブがメインのジャズやクラシック”など

広い言葉でいうならインスト曲

それに対して

”カラオケで歌ったりする最新の曲”

つまり歌詞がついた曲

 

それぞれ、同じ”音楽というメディア”であるけれどその性質は微妙に異なると思います。

 

そこで、それらの特徴を今一度考えてみようかと思い今回の会議のテーマを決めました。

厳密に書くと色々な意見はあると思いますが、ざっくりと述べさせて頂きます。

 皆さんのご意見も是非伺いたいので良ければコメントお願いいたします😌

 ちなみに僕が今までの人生で聞いてきた音楽は

ゲーム音楽、アニソン、Hiphop、EDM、Pops、フージョン、Jazz

ヘビメタル、デスメタル、クラシック、です。

本で例える

インスト曲は

”文字だけで書かれた小説”に近いと思います。

例えば、宮沢賢治銀河鉄道の夜など

小学生が読んでも理解し難い本のような(実体験)

そういう本って、意外とその本以外の予備知識であったり

作者の意図、時代背景など

色々なことを考慮しないときちんと理解できないですよね。

そんなイメージかなと思います。

 

一方で、一般的な歌詞つきの曲は

”雑誌”のように捉えることができるかな、と思います。

わかりやすい文字情報と写真で

直感的に脳が多くの情報を得ることができる

そんなイメージに近いと思います。

 

感想

インスト曲であるだけでも、聞きづらいところはあります。

特にジャズの場合、アドリブが多いことがほとんどで、かなりハードです、、

ジャズを聞きたいと思う人が少ない大きな理由の一つがこれでしょうね😥 

 

それぞれに良さがあるため、もちろん好き嫌いはあるかと思いますが

一般化した優劣はつけられないでしょう。(場合によるので)

 

ジャズは喫茶店、お洒落な空間のイメージがありますが

チェーンのラーメン屋さんやカレー屋で流れてたりと、

ふとしたところで流れているんですよね😌

 

その時に自分の知っている曲が流れると、少し嬉しくなります😆

 

今日のオススメ曲

チャック・マンジオーネ(1940-現在)の”Feels So Good”

youtu.be

アメリカ合衆国ロチェスター州出身、トランペッターフリューゲルホルン奏者としても有名

1960年からザ・ジャズブラザーズというハード・バップのジャズバンドを実兄と結成

また、彼はジャズメッセンジャーズにも在籍期間があります。

上の曲はフュージョンが好きな方には特にオススメな曲です。

 

フィール・ソー・グッド

フィール・ソー・グッド

 

 

それでは!!