今回はビバップを語る上で欠かすことのできない人物バド・パウエルについて紹介していきます。
①基本情報
バド・パウエル / 通称 バド /(1924年〜1966年)
1924年 アメリカ ニューヨークにて生まれました。家族のほとんどが演奏家、いわゆる音楽一家の次男として幼少期を過ごします。きっと音楽が生活の一部となっていたでしょう。また、多くのジャズミュージシャンがそうであったように彼はクラシック音楽を学んでいました。
ところで、当時アメリカでは神様と評されるほどの凄腕のテクニックを持つ盲目のジャズピアニスト、アート・テイタムが脚光を浴びており
そんな彼を見た、幼き日のバド・パウエルはジャズに興味を持ち始め、15歳の頃には兄のバンドでジャズピアノを弾くようになっていたようです。
このように才能に溢れるバド・パウエルですが、他のジャズピアニストと比較してなぜここまで有名なのか?題名にもあるように、なぜピアノ界のチャーリーパーカーと呼ばれているのでしょうか?その答えを知るには、まず初めに彼が活躍したビバップ時期以前のピアノスタイルを理解する必要があります
②ビバップ以前のプレイスタイル
先ほど出てきたアート・テイタムまた、”A列車で行こう”の演奏でおなじみのデューク・エリントンが活躍した1920〜50 年代はビバップより前であり、その頃のジャズを一般にはスウィングジャズと呼びます。これは大編成の楽器でジャズを演奏する、ビッグバンドのことです。
そのころのピアニストは
”ストライド(Stride)・ピアノ”
通称 ”ストライド” 呼ばれる伴奏のスタイルを
ソロ、全体の演奏、両方に使って演奏していました。
さて、そんなストライドですが、少し丁寧に説明します。
そもそも、ストライド(=Stride)の日本語訳は何なのでしょうか
一つに歩幅というのがあります
これはストライドの奏法が
1、3拍で低音のベースの単音を
2、4拍目で中音域のシンプルな和音を
交互(前後)に歩くように弾いていたためだと考えられます。
このように、その当時のピアノの役割は
”リズムとハーモニーの両方を表現する”
ことに重きを置いていたと言えるでしょう。
しかし、1950年以降のビバップの登場でこのピアノに対する要求が大きく変化することになりました。
③ビバップの到来とBud Powell ヴォイシング
では、チャーリーパーカーらがもたらした”ビバップ”という新しい音楽の誕生によりジャズはどう変化したのでしょうか?
個人的な意見で恐縮ですが
ビバップとスウィングジャズのスタイルを比較すると
スウィングジャズが比較的ゆったりとしたテンポで少ないコードチェンジであったのに対しビバップは速いテンポに、多くのコードチェンジ、転調があるように思います。
つまり、従来のストライド奏法ので演奏では右手をアドリブとして全力で注ぐことは難しいわけです。そこで、コードチェンジとテンポが速い曲のアドリブに対応するためバド・パウエルが考案したのが
Bud Powell ボイシングです。
このボイシングのスタイルは基本的には2音(3音の場合もあるがここでは省略)しか音を弾かないシンプルなものですが、それゆえに汎用性、実用性が高いのです。
実際、ジャズに頻発するコード進行である Ⅱ–Ⅴ–Ⅰ(ツーファイブワン)
を機械的に、そして非常に簡単に弾くことができます。
当時の人々は”バド・パウエルは左手を解放した”と言ったそうで
つまり、このスタイルの登場により、ピアニストは右手のアドリブに集中できるようになったことを意味しますね。
それでは最後にその当時のバド・パウエルの貴重なライブ映像をご覧ください。
チャーリーパーカー ディジーガレスピーの曲でAnthropology(人類学).
まとめ
アルトサックスのチャーリーパーカーがビバップの新しい可能性を示したようにバドパウエルは卓越したテクニックのピアノ、スタイルでまさにそれを体現しました。
そのため、彼以降のジャズピアニストは多かれ少なかれ彼の影響を受けていると言われています。ちなみに僕はバドパウエルのビバップなアドリブがめちゃめちゃ好きです笑
後のピアニストに可能性と指針を示したバド・パウエルですが、晩年はアルコール、麻薬の中毒に苦しみ、1966年に42歳という短い生涯に幕を下ろしました。
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最後におまけの画像です
有名なバド・パウエルの曲”クレオパトラズドリーム”が収録されているアルバム
”The Scene Changes Amazing Bud Powell”
のジャケ写の候補でしょうか?
バドパウエルジュニアが可愛いく写っています笑
個人的には左下の写真の、ピアノの鍵盤を覗いている無垢なパウエルジュニアの姿が
一番好きです笑
世界的なジャズピアニストであった彼は同時に父親でもあったのわけですね、、
少しでもジャズに興味を持っていただけたら嬉しいです。
最後まで見ていただきありがとうございました。
それでは!!!