第二回ジャズの名言〜ジャズマンから学ぶ生活知〜
前回好評だったジャズの名言の第二回目です。
Horace Silver(1928-2014)
ファンキージャズの王者として知られるジャズピアニスト
初期の頃はバド・パウエルの影響を受けたビバップスタイルの演奏が目立つが
聴きやすいメロディアスなアドリブと、高い作曲センス、リーダーとしての音楽監督力が特徴
彼の作曲した音楽にはファンキーさだけでなく、ラテンや民族音楽
さらには日本の和の音階(12♭35♭6)を使ったものまであります。
その音楽に対して多様性を重視したスタイルは、もしかすると彼の両親の出身
(父はアフリカ系ポルトガル人、母はアイルランド人とアフリカ系の血)から来ているのかもしれません。
”I will search for hidden talents that I didn't know I had and do my best to cultivate them.”
”自分が知らなかった埋もれた才能を探し、私はそれを伸ばすために最善を尽くす”
自分の持つ能力というのは、自分では当たり前な分、中々自覚するのが難しいことがあります
逆に苦手なことというのは、目立ちやすいのでよくわかる。(このことを心理学用語でネガティブバイアスと呼びます。)
現代に生きる我々は自分の才能や能力を見極めることが困難になっています、なぜなら見極めるのには自信と時間が必要だからです。しかし、機械が早い結果を出せるのは良いことで、それを人間にも適用するのが善であるという理屈がまかり通った今の教育では、才能を見極める前に自殺したり、鬱になったりしてしまう人が多いのではないかと思います。
短いスパンで考えずに、長いスパンで自分の才能を見つけていくことも良しとする、そして見つかったらそれに全力で取り組む、そんな感覚も大事にしたいものです。
Herbie Hancock(1940-)
You can practice to attain knowledge, but you can't practice to attain wisdom.
"知識を得るために練習することはできますが、知恵を得るために練習することはできません。"
これは、何か練習して上達したことのある方は理解がしやすいかと思います。知識は付け焼き刃でも付けることはできますし、時間をかければ得られるという感覚があります。
僕個人的な意見としての”知恵”とは
生きた知識として”実践で活用できる”のか
仕入れた複数の知識に”重なる部分がある”のか
シンプルに”知識を集約”できないのか
何か”一般化”できること、他の分野にも適用することができないのか
そう言ったことが”知恵”だと思っています。
これらはあくまで自分が知恵だと感じる”なにか”の一側面です。
つまり、知識を得るためには、まずは知識を得る必要があり、知識を得たらそれを日常的に使ってみる。日々の生活の中に溶け込ませてみる。そして実践の中で個人的な気づきを経て、ようやく知恵となり、感覚に落とし込めるのだと思います。知恵を得るためには個人的な体験をするしか無い気がします。書いてある内容を理解すれば、すぐに得られるものでは無いのでしょう。なぜなら、それは長期的なスパンで得られるものであるし、また偶発的な要因も内在しているように思えます。そのため、それを得るための直接的な練習は定義できない(人によって感覚が異なるので)ということでしょうか。
”Jazz is a music that is open enough to borrow from any other form of music, and has the strength to influence any other form of music.”
”ジャズとは他の種類の音楽から借りることができるほどオープンであり、他の種類の音楽に強い影響を与えている音楽だ”
つまり、ジャズとは常に進化し続ける音楽であり、その過程で
ラテン音楽、民族音楽、ロックやワールドミュージック色々な音楽を吸収してきました。
それくらい、つまり曲のジャンルに捉われないということでしょう。その一方で
ジャズから生まれた、お洒落な和音であったり音楽理論のアイデアは
現在の音楽たとえば、ポップスなどにも応用されているということなのでしょう。
今日のオススメ曲
ジャズ界のレジェンド秋吉敏子(1929-)さんのファーストアルバム”Toshiko's Piano"より"I'll Remember April"
彼女は日本人で初めてジャズピアニストとして海外のレーベルと契約を結びジャズのレコーディングをしたことでも有名ですが、特筆すべきはその演奏スタイルです。
彼女はバド・パウエルの影響を強く受けており、その演奏からもエッセンスが随所に見られます特にバドのお気に入りの曲である同曲からは彼女のバドへの敬意が感じられます。技巧的なアドリブだけでなく、バドパウエルのような力強くエネルギッシュなアドリブ、さらには女性ならではの優雅な演奏にも注目です。
この時代に、着物を着て熱いビバップを弾いている女性は秋吉敏子さん以外にいなかったことでしょう。めちゃくちゃ大変かっこいいですね、、、
最後まで見ていただきありがとうございました!
それではまた!!
参考文献: