A LIFE IN JAZZ|一度きりの人生を豊かに過ごす秘訣

音楽の紹介やその雑学、読書、生活知としての哲学、など幅広く書いています。

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ジャズ読書記録1−1「すごいジャズには理由がある」

 Youtubeで今まで何度か関連動画にあったけど、あまり他の人のジャズの理論動画を見たくない意地(元々ひとに教わるより本で学ぶ方が好きで性に合っている)で結局見ていなかったのですが、一昨日の夜少し勇気を出して見てみた。

第一回はアートテイタムについて演奏スタイルについて、理論的に解説するというものだった。少し古い動画で、ホームビデオ的なとこともあって(このレベルの内容を無料で見れるのは本当にありがたい、本を買った人のみの限定公開でも価値があるくらい)ちょっと複雑な説明のところはもう一度見返さないとわからないのもあったが、おおよそ今の自分の知識(ジャズ歴4年)で十分理解できる内容で、意外にも面白かったのだ。

そして、概要欄を見ると、この動画にそった解説本があるではないか!早速夜中にポチって同日の夜に配送された通知が来て、今日の朝届いた。

早速、1ページ目にあったのはビルエヴァンスの名言として「ジャズとは1分の曲を1分で作曲することである。」とあって、え?これ前ブログで書いたやつやん!!と運命を感じました笑

 前といっても18日くらい前の記事のこちらです。

heiyou2122123255.hatenablog.com

そんな感じで、読み進めているところです。この本が出版された経緯はまず

クラシックを学んでいた音楽教育論の日本人の教授、岡田暁生さんという方が、アメリカ人のジャズピアニストフィリップ・ストレンジの演奏を聴いて感銘を受け、弟子入りを申し込みました。そして教わる中でフィーリングよりも、理論を重視した教え方や、ジャズピアニストの特徴を理論的にわかりやすく分析するなど、岡田暁生さんがいうには”脱物語化”、である。

確かに、ジャズについて勉強しようとする時に何かとストーリーや人間関係、秘話や逸話が引き合いに出されることは多いと感じるしそれらを理解するにはおそらく自分ほどジャズに熱意があってほぼ毎日ジャズを聴きあさっている人間でも3年くらいはかかると思う、これはジャズ初学者にとってはほとんど苦痛でしかない、しかしジャズについての伝記などのなかでは理論の内容は1%にも満たないことがほとんどだ。逆に理論書はコラムなどで歴史上のジャズマンの功績をを多少解説する程度の本がほとんど(もしくはゼロ)であり、理論10割になっている。一部マークレヴィンさんの本などはプレイヤーのスタイルと結びつけて解説しているが、こういった切り口はかなりレアだと思うし、実際、評価も高い(ケニーバロンが推してた、ただし内容はかなり濃いし練習方法はほとんど示されていないので習ったことは全てのキーで実践するように読み進めるとかなり時間がかかる、まあ練習方法を自分で考えるのもおもしろいのだが笑)。僕がマークレヴィンさんが好きな理由はその音楽に対する姿勢である。たとえば、音楽の理論は時代とともに許容範囲が増えてきているのであるから、今の理論ではこれがよくない音(アヴォイドノート)であるとは言っても数年後にはそれも良しとされる可能性がある、だから不協和音だからといって心を閉ざすのではなく開いておくことが大事だと、また、この和音の響きを聴いてどう感じますか?と一方的に理論を押し付けるのではなく自分でその響きを感じ、どう思うか?というところを重視してくれている点である。そして一つの理論書でジャズ理論をすべて理解できる本など存在しないとか、ミュージシャンから教えてもらう際には話半分で聞くことなど、”断定”に対して最新の注意をはらっているのだ。僕はこの考え方がスピノザ的で気に入っている。”本質はそれ自身のみにしか内在しない”云々

直感ではあるが、おそらくこの本もそういった方針に近いのかなと思う。

ジャズピアニストのステレンジさんは大学院で音楽理論についての博士号を取得している人物であることからもかなりしっかりとしたエビデンスに基づいた、かつ最先端の音楽理論の解釈の感覚をもっているのではと思う。(世間的に有名な先端技術というのは研究者の視点から見ると、もうホットな研究ではなく出尽くした理論であることが多いというのを大学で学んだ)

 本書では、何人かジャズの巨人をフィーチャーし、その人のテクニックを具体的な例を挙げて説明している。最初のジャズマンは実は意外にも、ソロピアノの最高峰テクニックを誇る盲目のピアニスト、アートテイタムである。モダンジャズ以降のジャズを研究するのにビバップの時期より以前のプレイヤーを最初にもってきたのか?その理由はアートテイタムとチャーリーパーカーの繋がりにあった。実は日本語Wikiのアートテイタムについてのところにその答えが書いてあるのでよければご覧ください。

是非、動画と併用して本を読むのがおすすめだ。

 

ただし、どちらかというと理論をかじった人向けであるので注意が必要だ。ただ買っておいて損はない一冊だと思う、ジャズの教養がそこそこある人なら理論は読み飛ばしても色々と勉強になると思う。基本的に岡田さんと、ストレンジさんの対話形式に話は進んでいく。また内容は大学の講義くらいの深さがあるように感じる。新書よりも専門書のくらいのボリューム感、そのため値段も1800円とすこし値は張るが、2014年と比較的最近の本でこのクオリティは珍しいし、者が本を出版したかったその情熱も感じる。

これからも読み進め感想や、ネタバレのない程度に同本の魅力を伝えていければと思っています。

さて、このブログが今年2020年最後のブログとなりました。

今月は毎日投稿を目標にやってきたが、意外と続くものだと自分でも驚いております。

これからも、ジャズやその他音楽を多くの人に楽しんでもらえるよう、頑張っていきたいです。来年も何卒よろしくお願いいたします。

皆様、よい新年をお過ごしください!

それでは!